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やはたコミュニティバス 始動から半年

 大分交通柞原・机張原線の休止を受けて、2024年10月1日から大分市による「やはたコミュニティバス」の運行が始まりました。…それから気づけば半年経っておりまして、早くも二度目のダイヤ改定を迎えている状況ですが…なんでこんなに記事を放置してたんだ(本当に)
 もはや今更感もありますが、沿線民として現状やら要望やらを書いてみたいと思います。

やはたコミュニティバスの現況

ここにある情報は運行に関わらない第三者がまとめた2025年4月現在の情報です。
最新の運行情報については大分市のホームページを参照ください。

2025年4月現在のコミュニティバスダイヤ

 やはたコミュニティバスは大分交通の路線の休止により新設された大分市による市営バスである。大分市のコミュニティバスとしては三例目で、他にたきおコミュニティバスとのつはるコミュニティバス(共に2020年10月1日に大分バスの路線を引き継いで誕生)を運行している。もともと運行していた大分交通柞原線・机張原線・東八幡線を踏襲し、生石一丁目で大分交通スカイタウン高崎線と接続する形になっている。
 なお5月の説明会の段階では別府市の関の江・鉄輪温泉から来る路線バス、大分交通別大線に接続するという話で試作ダイヤも組まれていたが、あんな遅れまくる路線と接続するなとの抗議もありこういう形になった。(ホントマジでそう)

 使用車両は9人乗りのジャンボタクシー(ハイエース コミューター)、もしくは普通便と称した4人乗りタクシーでの運行となっており、毎月運行会社が変わる形になっている。今のところオーケーはとタクシー(2024年10月・2025年4月)・大分シティタクシー(11月)・大分トキハタクシー(12月・2025年1月)・別府大分合同タクシー(2月)・双葉タクシー(3月)の5社ローテーションでの運行体制となっているようだ。

 基本的に全便毎日運転であるが、柞原・机張原便は乗客の少ない下八幡地区より奥(上坂本・大山入口以遠)は事前に電話が必要な一部区間予約制となっている便もある。また、同区間は乗客が居なくなった時点で回送となる。

 乗車方法は、まず乗車時に入口に設置された乗車カード(ICカード)を端末にタッチ、路線バスと乗り継ぐ場合は乗継券も取る。降りるバス停が近づいたら申告して停車してもらい、乗車カードを再度タッチして清算して下車、という手順。しかし実情は乗車時に申告するのが定例となっており、乗継券も使わない人が多い。
 指定バス停で路線バスと乗り継ぐと180円引きとなり、八幡小学校前までであれば無料で乗車できる。逆方向は申告制である。乗り継ぎ指定バス停は生石一丁目バス停でのスカイタウン高崎線大分方面および、西大分駅前/西大分バス停での別大線大分方面のみとなっており、たとえば別府北浜からやってきて西大分でコミュニティバスに乗り換えても割引は適用されない(なおこれはどこにも明記されていない)。また、西大分駅前からJRに乗り換えた場合も割引は適用されない。

 ちなみに使用する乗車カード・乗継券は既設のたきおコミュニティバス・のつはるコミュニティバスの物を流用する形で、運行会社によりカードをそのまま使っていたり名前を隠したりして流用している。今のところやはたコミュニティバスのものは存在していない。

 なお大分市が運営するものとしてふれあい交通というものがあるが、事前登録および予約が必須・曜日限定運行・乗り継ぎ割引なしという点でコミュニティバスとは微妙に異なる。八幡地区ではふれあい交通の上白木ルートがミスターマックスまで並走している。もともと八幡小学校前接続だったのが路線バス休止で接続先を変更して生石一丁目に延長したものである。実は一の坂の山の上には住宅街が広がっており、利用状況によると本数は少ないもののそこそこ利用されているようだ。

やはたコミュニティバスの実情

 一応自分は、毎週出来る限りコミュニティバスを利用するようにしている一利用者である。そんなわけで利用者目線からつらつらと書いてみる。

路線バスからコミュニティバスへ乗り継ぐ人たち

本数は極力維持…?

大分交通時代の最終運行ダイヤ
2024年4月1日改正(大分交通)平日21便・休日12便大分交通最終ダイヤ
2024年10月1日改正平日28便・休日13便コミュニティバス運行開始
2024年12月1日改正平日27便・休日13便夕方1便休止 →詳細
2025年4月1日改正平日24便・休日13便初の改正 →詳細
これまでの改正の概要

 やはたコミュニティバスの運行本数は2025年4月現在平日24便・休日13便となっている。大分交通時代が平日21本・休日12便だったので微増はしているが、特に平日朝は実質2便が続行しているところもあり実質有効本数としてはあまり変化はない。そもそも運行開始時点では平日28便だったのが4月の改訂で減らされてしまった。
 一番困るのは、生石一丁目での乗り換えが指定されているにもかかわらず生石一丁目まで行かない便がちょこちょこあることである。西大分からの別大線も-1分接続というナニコレ?(たいていは遅れてるから間に合う可能性は高いけども)というダイヤであったが、これは4月の改訂で若干改善された。個人的には西大分駅止まり・始発便はダイヤ上問題なければすべて生石一丁目まで伸ばしてほしいところである。街まで行かずともフェリー乗り場・ホーバー乗り場・県立図書館へなど使い道はある。(駅からここまで全然歩けるけど地味に距離があるんよね…)

なぜか下がった運賃

 コミュニティバスに乗り継ぎになったことで、なぜか大半の区間で運賃が下がっている。

大分交通直通時代大分交通+コミュバス乗継
大分駅前~一の坂(市内均一区間)170円200円(支払い無し)
大分駅前~八幡小学校前230円200円(支払い無し)
大分駅前~下八幡260円210円(10円)
大分駅前~柞原390円350円(150円)
大分駅前~机張原460円410円(210円)
八幡小学校前~柞原210円240円(コミュバス完結)
八幡小学校前~机張原270円310円(コミュバス完結)

 路線休止と同時に大分交通の運賃値上げがあったのだが、乗り継ぎでの運賃基準は値上げ前の物が適用されたようで乗り継ぎの場合はほとんどの区間で値下げとなった(コミュニティバス完結区間だと微妙に値上げ)。また、市内均一区間扱いが一の坂から八幡小学校前へ拡大されたため、ここまでは無料で乗車が可能となっている。路線バス時代は一の坂を境に一気に60円上がる区間だった。
 また乗り継ぎ割引は今までの路線バスの代替であるスカイタウン高崎線のほか、別大線でも有効である。そのため、八幡地区~西春日町方面だけでなく八幡地区~春日浦・新川方面でも割引が適用される。別大線は慢性的な遅れの常習路線なので通勤通学には使いづらいところはあるが、選択肢が増えるという点ではありがたい。

乗客は大幅減

 運行本数の実質的な維持、運賃の据え置き(実質値下げ)と頑張ってはいるものの、大幅な乗客の減少は抑えられてはいないようだ。これは市内のほかのコミュニティバスでも同様の状態のようである。

 説明会資料によると大分交通運営時の柞原・机張原~かんたん間の利用客数は1日128人いたとされる。一方コミュニティバス移管後の10~12月の速報値によると1日38.4人に激減していることがわかる。路線バスの値は特定の一日の利用数を取り出したサンプル、コミュニティバスの値は平日全数の平均というところに注意は必要だが、少なくとも路線バス時代の半分以下に利用客が減っている。ではその分はどこに消えたのかというと、乗り換えの面倒くささや乗れなかった時の不安感から、西大分駅まで徒歩・自転車でのJR利用、もしくは自家用車・自転車等に転換したのだろうと思う。
 なお、運行開始当初は路線バス・コミュニティバスが大幅に遅れた場合に連絡するバスを待たずに発車するという運用が行われたことがわかっている(乗ってるおばちゃんから聞いた)。さすがにこれには強い抗議があったようで、今は生石一丁目発のコミュニティバスについては必ず路線バスの到着を待つようになっている。特に路線バスは夕方時の定時運行が壊滅的になっており(そもそも大分交通全体的にダメなんだけど)、大分駅前発のスカイタウン高崎行が生石一丁目到着時点で5~8分の程度延滞していることが常習化しているのが現状であり、その話を聞いた当初は路線バス乗車中に遅れるとやきもきしたものである。ちなみにその当時の運転手から「この辺の人こわい…」とぼやかれる程度に強い抗議だったようである。市からは路線バスが5分来なかったら発車していいと言われていたと。

賛否両論のミスターマックス乗り入れ

 コミュニティバス化に当たって、ルートを少し曲げて2013年に開店したミスターマックス西大分店の店頭への乗り入れが実現している。しかし便利になったかと思いきや、これには賛否両論なところもある(東八幡方面のおばちゃんの談)。バスは一の坂→富士紡社宅前と通過し、その先の信号のある交差点からミスターマックスへと入っていく。そこから駐車場を大きく回り込んでミスターマックスのナフコ側玄関前のバス停に停車、そこから再度発車して信号のある交差点に戻り八幡小学校前へと至る。そう、ミスターマックスバス停を使わない人に大半の人にとってはとってはここで無駄に時間を食うのだ。特に八幡小学校前の利用者は目的地のわずか55m手前で方向を変え、実に700m以上の大回りを経てようやく八幡小学校前へ到着するという虚無な状態となっている。
 上にも書いたふれあい交通のルートを取れば効率的なルートにはなるが、一の坂バス停の移設と富士紡社宅前バス停の廃止が必要になってしまう。

ほとんどの便が片道回送でもったいないが…

青地:片道が回送の便

 時刻表をよく見ると、実は多くの便が片道が回送になっていることに気づく。回送だからといってもちゃんとタクシー会社への支払いは発生するはずで、どうしてこのような非効率なことになっているかというと、路線バスとの接続を優先しているためである。現状路線バスと接続する生石一丁目に大分駅発の路線バスが着くのが毎時42分(日中)、そして大分駅方面へのバスが出るのが毎時07分となっているので、コミュニティバス1台運用では往復とも路線バスと接続させるのは不可能なのだ。そのため朝は大分方面行きを優先にしたダイヤ、日中・午後は八幡方面行きを優先したダイヤにするという苦肉の策が取られている。
 開業直後の改正では路線バスとの接続が無い便も多く不便であったが、4月の改正で両方向共にバス接続が大きく改善され、別大線を含めればほぼ全便で路線バスと接続されるようになった。特に平日の八幡方面行きはきれいな1時間ヘッド運行を実現しており、これは非常に良い改善といえる。
 別大線なら1時間に2本あるのでもう少し融通は効いたと思うが、別府の北側から来るために定時性がなく、通常でも5分は遅れ運が悪いと20分ほど遅れることがあるという致命的な問題がある。たまにかんたんから別大線に乗ることがあるが、まず定時で来ることはない。コミュニティバスが別大線との接続になっていたらそれはそれで毎日ストレスがたまっていたと思われる。
 ちなみにJRに乗ればええやんという話ではあるが、割引が利かないのだ…(実質倍額になる)

個人的に製作した大分交通別大線・JR日豊線を含めた時刻表(2025.4現在)

乗客の距離が近い

 路線バスだったころには気にもしなかったほかの乗客だが、9人乗りという小さな車になったことでかなり距離が近くなった。運転手を交えていろいろと話しをしたりすることもあり、近所に住んでる人の解像度が上がった感じがする。

やはたコミュニティバスの今後

 やはたコミュニティバスは大分交通が休止した柞原・机張原線の代替として大分市が運行しているものである。したがって、もし大分交通が路線を再開しますとなればあっさり廃止されることになるだろう。そういう事情もありとりあえずつなぎの運行という感じが強く、専用のバス停は整備されているものの、リーダーなどの設備は専用ではなく既設のたきお・のつはるコミュニティバスの流用のままとなっているし、バス停へのベンチなどの待合設備も現状は整備の予定はなさそうである。バスのルートも若干の延伸はしたものの、現状は路線バス時代と大きな変更はない。
 やはたコミュニティバスに大きな動きがあるとすれば、おそらく正式に大分交通の路線廃止後になるのではないかと思われる。

乗りかえ拠点整備の必要性(そのうちされるのか?)

歩道が狭いのよなぁここ

滝尾公民館バス停

野津原公民館バス停(ガードレールむこうの屋根のところ)

 既設のたきおコミュニティバスものつはるコミュニティバスも、路線バスとの乗り換えは公民館という拠点を乗り換え場所に設定しており、どちら側の乗り継ぎバス停にも屋根とベンチが整備されている(たきおは大分バス側のみ)。しかし、やはたコミュニティバスの乗り継ぎ拠点である生石一丁目は狭い歩道にバス停が置かれているだけで、現状はベンチも屋根もない吹きっさらしとなっている。 ちなみにこの辺りはかんたんの別府方面と八幡方面、王子港町の大分方面くらいにしか屋根が無い。過去にどういう基準で整理されてたんだろう。
 GoogleStreetView調べによると野津原公民館バス停は2022年頃整備、滝尾公民館バス停は2023年頃整備と開業から少し経ってから整備されているので、いずれはこちらも整備されるのではないかとは思われる。高崎方面は隣接して市営の生石保育所があるのでその敷地を活用すれば何とかなりそう、大分方面(ラーメン屋側)はバス停をもうちょい北にずらせば臨港線跡の空き地があるものの、今度は路線バスが国道に曲がるのが大変になるので難しい感じもある。いっそ歩道に余裕のある国道まで出て東生石バス停で接続するのも手かもしれない。

ミスターマックス周辺のルートが気になる

ミスターマックス周りの現状ルートと私案

 上のほうで触れたが、ミスターマックスを経由するようになったのは便利になった側面もあるが、八幡小学校以遠に行きたい人にとっては無駄に大回りするのがもったいない。秡川の東側のガードを抜けて西大分駅にまっすぐ出れる市道経由に変更することはできないのかなと思ったりはする(地図の点線ルート)。実際タクシーで運行のふれあい交通上白木線についてはこの道を使うようになっているし、富士紡正面の五星橋経由でも行けそうな感じはあるのだが。もしルート変更ができるなら信号2か所が削減され、600mほどの走行距離が短縮されることになる。これで八幡小学校前以遠の利用者はニッコリではあるが、移設が必要な一の坂と廃止となる富士紡社宅前の利用者がどうなんだろうと思ったりする。そもそも富士紡社宅前の利用者いるんだろうか…?

 ちなみに富士紡社宅はかつてミスターマックスの位置にあった社宅群である。はるか昔に取り壊されており現在は影も形もなく、その名前だけが亡霊のように残っている。まさかコミュニティバスにまで受け継がれるとは思っていなかった。

あると便利だが、なくても何とかなる(麓の話)

 あくまでも「麓の住民」として正直に言うならば、「コミュニティバスはあれば便利だが、無くても何とかなる」というのが実情である。自分はコミュニティバスを利用するようにしているが、実のところバスを利用しなくても大きな支障は無く、利用したい時間が合わなければ普通にかんたんバス停や西大分駅までけば解決するというのが実情なのだ。路線バスの頃のデータも大分方面行きが75人に対して八幡方面行きが53人と不均一になっており、家から出る時は近所のバス停の時間に合わせて出発、帰りはJR西大分駅・かんたんバス停から歩いて帰る人たちが一定数いることが伺える。
 ただ、柞原や金谷迫、机張原に住んでいる場合はそうはいかない。歩いて生きている公共交通機関の場所に出るにはかなり遠く、このコミュニティバスは貴重な生命線となる。とはいえ全体で乗客が半分以下になっていることもあり、柞原・机張原合わせても15人前後というところであろうか。人口および利用客が多いのは麓の下八幡地区であり、全体の利便性を保つには麓の利用を促進することも重要になる。たきおコミュニティバスの状況を見る限りは利用が壊滅的でもそれなりの維持はしてもらえるようであるが、もともと赤字前提の事業であるし、今後もコミュニティバス移管が増えることがあれば一路線あたりの事業費が削られて利便性が落ちていくことは十分考えられる。

 なお大分市地域公共交通計画によると、やはたコミュニティバスの年間利用者数の目標値は1年間(年度)で17,394人となっている。これは一日平均47人程度が乗らないと達成できないものであり、現状での達成はかなり難しいと思われる。ただ当初より減便されていることもあり、目標値の見直しが行われる可能性は高い。便数×2人×日数の計算で算出しているため、現在の便数での目標値は一日37.4人となる。これも平日で38.4人という現状ではまぁまぁ厳しい数値である。
 目標達成のためにさらに減便しますと言われても困るわけで、乗る人を増やす方向に舵を取ってほしいわけではあるが…観光需要としては柞原八幡宮・高崎山登山などの細々としたものしか期待できないこともあり、地元民の継続的な利用による底支えが重要となる。今後も利便性を維持してもらうにはできうる限りご利用していくしかないのだ。

※赤信号で飛び出したんじゃなくて青信号がクッソ短いんですここ

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